もちろん,1GHzは,通過点でしかない。道は濃い霧の中へと続いていて,我々を何処へ導くのか,見渡すことはできない。
6日の米国での発表に続き,AMD社は7日,1GHzで動作するアスロン・プロセッサーを日本でも発表した。1,000個ロット時の価格は15万5880円。はじめにコンパック社とゲートウェイ2000社に供給され,秋葉原などには4月以降に出回る。ゲートウェイ2000社は,1GHzチップ搭載パソコン「Gateway Select 1000」の発売を開始した。
ことあるごとに取り上げてきたチップスピードレースは,ひとつの区切りとしての1GHzを迎えた。600MHzを取り上げたのが昨年の7月末(過去記事)。700MHzが10月頭(過去記事),800MHzが12月末(過去記事)…。加速度的にアップしていくクロックスピードは,利用者の立場からは,ただ呆然を眺めているしかなかった。轟音を立てて走りゆくF1カーのように,歓声はかき消され,情動は揺さぶられる時を失っていた。ただ静かに,各人の胸の中で,未来への道標を確かめるように一瞥しているしかなかった,と感じたがどうだろうか。
昇りきったと思った山頂への坂道,だがそこはまだ中腹でしかない。どこまで続くのかわからない山道は,重たい雲の中へと延びて,見通せない。人は今だ火星にも下り立てずにいるが,1GHzの風景は眺めている。そして,宇宙に果てがないのと同じく,クロックスピードにも果てはない。より先の世界へ,此処より永久(とわ)へ,と。
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